私のこと

30代の日常をつらつらと書いています。Twitter:@sho_takeuchi09

細い身体と、白い肌と

暑い。

昼は半袖で丁度いいくらいの気温になってきた。

 

私の職場は観光地に近いため、海外の人が毎日のようにたくさん歩いている。

気温が最近よりもっと低かった頃から半袖に短パンで歩く海外の観光客(特に欧米の方)は多かった。

「肌寒い」っていう概念がないのだろうか。

服装に迷いがなさそうで羨ましい。

 

毎日のように天気予報を見ては

「今日は半袖か…?」

「パーカーとかあった方がいいか…?」

ジーパンだと暑いか…?」

などと考える私とは違うんだろうな。

朝、私が服に悩んでる間、きっと彼らは迷いなく半袖と短パンを選んで、コーヒーでも飲んでいるのだろう。

そんな中、私はというと悩みに悩んだ挙句、パーカーやカーディガンなどを念のため詰めた重いリュックを背負うのだ。身軽な彼らとは対照的である。

 

 

 

私は短パンが履けない。というか、履かない。

できれば半袖も着たくない。ノースリーブなんて絶対にイヤだ。

 

昔から、太れない体質なうえ肌が白かった。

食べても太らない。

筋トレしても筋肉はつきにくい。

肌は焼いても赤くなるだけ。数日で真っ白に戻る。

 

親の遺伝なのかなんなのか、私は見るからに病弱そうな見た目をしていた。(こんなに元気なのにね)

小学生や中学生なんて、見た目がみんなと違うといじめの対象となるのが世の常だろう。

私も例外ではなかったと思う。

 

「いじめられた」という意識はないものの、小学生の頃くらいから、すれ違う知らない人に「ほっそ!」と言われることがよくあった。

そのせいか小さい頃から半袖や短パンを履くのが嫌いだった。特に短パン。

腕の細さより、足の細さの方が目立ちやすいから。

 

さらに肌も真っ白となれば、なおさら肌を出したくはない。

勝手に病弱扱いされて、勝手に運動できないことにされて。

部活では普通にレギュラーをとっていたし、体力テストも平均以上の記録は出していた。

可もなく不可もないくらいだったはずなのだ。

それでも心配されたり、笑い者にされたり。

あの頃の私は、ヘラヘラしてやり過ごすことしかできなかった。

 

 

大学に入るとみんなやけにオシャレに目覚める。

高校までは似たような服を着ていた人たちが、大学で急に自分の好みを全面に出す服装に様変わりする。

私も、オシャレがしたかった。

でも、肌は出したくない。

 

 

夏になると、大学生という生き物はBBQをしたがる。それが学生の中でのステータスなのだ。

「友達がたくさんいる」

「夏を楽しんでいる」

そんなアピールをSNSですることで、大学生という生き物は生き甲斐を感じる。(今の大学生もそうなんですかね?)

 

大学時代の私も「友達とBBQをした」ということをステータスと感じていたので、色んな友達と何度もBBQを企画していた気がする。

今思えば無理して背伸びしていたと思う。絶対に涼しい屋内で焼肉を食べてた方が楽しいよ。

 

ある日のBBQ、大学のとても可愛い女の子が参加していた。

少ししか話したことがなかったので、私としてはそこで仲良くなりたかった。あわよくばデートでも…なんて思っていた。

 

少しお酒も入り、その子と話せるタイミングがあったので、私はここぞとばかりに話しかけていた。

すると、唐突にその子が大きな声で言ったのだ。

 

「ねえ、この暑さで長ズボン履いてるってどういうこと?こっちまで暑くなる!」

 

その子の声に反応して、みんなが私を見る。

私を見て、ケラケラ笑ってる。

私は半袖のTシャツに、長いチノパンを履いていたから。

肌を出せば笑い者、隠しても笑い者。

どうすればよかったのだ。

いつも通り、ヘラヘラしてやり過ごした。

それしかできなかった。

 

今でもたまに思う。

私は何を着ていればよかったのだ。

それとも、笑われた時のうまい返し方を考えればよかったのか。

正解は未だわからない。

たまに思い出しては、つらくなる。

 

 

 

社会に出るならスーツを着る仕事をしよう。

大学の頃からそう決めていた。

スーツなら肌を出さなくて済む。ワイシャツの袖を捲ったって、肘まで腕を露出するかどうかだから。

 

予定通りスーツを着る仕事に就いた。

しかし、スーツかどうかなど関係なく、社会人になると体の細さも肌の白さも言われることがほとんどなくなった。

 

いい大人が他人の身体的特徴を笑うなんて、あってはならないから当たり前といえば当たり前だ。

でも、大人じゃなければ言ってよかったのか。

私のつらさは誰にぶつければいい。

つらい思い出はどうやって癒せばいい。

 

 

 

30代になった今でも半袖は苦手だし、短パンは無理だ。

でも今では頑張って半袖をたまに着るし、ズボンは9分丈くらいまで履けるようになった。

 

つらい思い出は消えないものの、

小さい頃から他人にかけられた呪いが、やっと解けてきている。

もう少し。もう少しな気がする。

 

 

今年の夏は、

半袖を着る頻度を増やしてみようかな。

 

 

 

夜中に洗濯機を回す

仕事が終わって家に帰るのがいつも23時すぎ。

帰ったらまずシャワーを浴びる。服を脱いで洗濯機に入れる時、洗濯物が溜まっていることに気づく。

もしやと思ってクローゼットを確認すると、明日着る服がない。私服で働く私にとっては致命的だ。

そんなことがたまに起きる私の生活。

仕方なく、今日も夜中に洗濯機を回す。

 

隣人に洗濯機の音が聞こえているだろうか。

洗濯機や掃除機の音で騒音トラブルになるとよく聞く。

深夜に洗濯機なんてもってのほかだろう。寝ているところ起こしてしまっていたら申し訳ない。いつもごめんと思ってる。

 

うちのアパートは1つのフロアに2部屋しかないので、隣人は1人だけ。

隣人の咳やくしゃみと、浴室の排水口に水が流れる音は頻繁に聞こえる。

防音がしっかりしているわけでもない、東京の外れにある普通のアパート。きっと洗濯機の音は隣に聞こえているのだろう。

 

住んで1年になるが、今のところ苦情がきたり、管理会社から注意されたりしたことはない。

耐えてくれているのか、気にしていないのか。どちらにせよ、ありがとう。ごめんね。

 

 

 

隣人の生活音で思い出したが、大学の頃に「おと・な・り」という映画を観たことがある。

アパートの隣に住む男女が部屋の壁越しにお互いの生活音を聞いている話。余計なBGMなどがなく、静かにお互いの生活音が流れる。

相手の生活音を聞くという一見気持ち悪い描写を、不快感なく静かに丁寧に描いている作品だった。(あと主演の岡田准一さんがカッコいい)

 

この作品、アパートとして使われていたのが鎌倉にあるホテルで、私は1度そこに泊まったことがある。

大学3年の時だったと思う。鎌倉に友達と3人で遊びに行った。日帰りの予定だったが、私がこのホテルのことを思い出して泊まってみたいとわがままを言って、素泊まりすることになったのだ。

 

映画のロケ地に泊まってみたいなんてわがまま、よく聞き入れてくれたと思う。ゆっくり酒が飲みたかっただけかもしれないが。

 

ロケに使われたのはホテルの外観だけで、映画に出てきた部屋は別の場所らしく、内装はアパートというより赤が基調のおしゃれなホテルだった気がする。

泊まったものの、ただ3人で酒盛りをして、眠くなったらそれぞれ寝る。それだけだった。

みんな寝静まった夜はとにかく静かで、生活音どころか車の音も聞こえなかった。

静寂の中、敷き布団で寝る友達2人を横目に、なぜか布団を用意されなかった私は部屋のソファーで寝た。

そんな思い出。

 

 

 

この「おと・な・り」という映画、懐かしくなって先ほど某映画のアプリで調べてみた。

コメントで賛否あった中に「話が現実的じゃない」というネガティブな意見があった。映画に対するコメントでたまに見かけるが、フィクションの世界に現実味を求める人が一定数いるのはなんなんだろうか。

 

現実なんて自分の生活でお腹いっぱい。

フィクションのない私のリアルな生活が映画になってても5分と観ていられないだろう。2,000円も払って映画館で観る人なんていない。

現実的じゃない映画でいい。

フィクションだけでも夢を見させておくれ。

映画の中でくらい、現実にない展開があってほしい。

私はそう思う。

 

 

 

洗濯機の表示が残り4分になった。

そろそろ洗濯が終わる。

朝までに乾くかわからないから、今日は乾燥機を使おう。乾燥機付き洗濯機を買っていて本当に良かった。

また私の生活音が隣に聞こえてしまうかな。

本当にごめんね、隣人。

いつかちゃんと謝るから。

 

 

罪悪感はあるけれど、

今日は夜中に乾燥機も回す。

 

 

ブログを始めてみようと思います

高校3年生の冬、おばあちゃんからもらった図書カードでハードカバーの小説を10冊くらい買った。

大学受験も終わった春休み。ヒマだからたくさん本を読もうと思った。乙一さんの本が好きで、あの時もミステリーばかり買った気がする。

 

小説は今でもハードカバーばかり買う。本棚に並べるとカッコいいから。

あの頃は実家暮らしで自分の部屋もなかった。

3人兄弟共有の広い部屋の隅にある自分の勉強机。机の小さい棚だけが私の本棚だった。ハードカバーは10冊も置けなかったんじゃないかな。

 

小説家とか文章に携わる仕事がしたいと思ったのはあの頃だった。こんな文章を書いてみたいと思いながら小説を読んでいた。

思うだけで特に努力もせず大学4年間を過ごし、無難に就職活動をして、可もなく不可もない企業に入社した。

 

「小説を書くのは才能がいる」

「小説で食べていけるのは成功した1部の人だけ」

「ヒット作をいくつも書かなければ終わり」

「普通の企業の方が安定してる」

 

言い訳ばかり積み重ねてたら、もう30代になった。

今も結局努力はしてないし、今の仕事を辞めて小説家を目指す勇気もない。

 

でもどこか、自分で文章を綴ってみたくてブログを始めてみた。

素人の稚拙な文章だけど、せめて日々思ったことを自分の言葉で綴ってみたい。

知り合いにもブログのことは教えないし、誰にも見てもらえないかもしれないけど、自分の文章をここに残そうと思う。

 

 

ということで、ブログを始めてみようと思う。

1番好きな小説は「暗いところで待ち合わせ」